内視鏡手術の内視鏡とは
内視鏡とは、柔らかなチューブ状で先端にカメラレンズのついた機器で、身体の内面に管を挿入することにより、観察したり治療したりする医療機器のことです。特に胃や食道などの消化器官は口から挿入し、観察、病気の診断、治療などが行われます。近年では、画像の映りもよく、太さもより細くなってきていて患者の負担も減ってきています。また当初は内視鏡によって観察することが主な使用方法でしたが、今では、鉗子口(鉗子(かんし)というはさみに似た形の金属性の医療器具で、手術の時に、器官や組織などを挟み、牽引したり圧迫したりするのに用いる機器を入れる直径2から3ミリほどの穴)を通して、組織をとって診断したり、実際に悪い部位を取り除いたりする治療も出来るようになってきました。
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内視鏡手術の推移
内視鏡手術が行なわれるようになってきた頃は、内部に出来たポリープを内視鏡の先から出す金属の輪によってモニターを見ながらで、ワイヤーで縛って切るという方法でした。しかしその後、ワイヤーに電気を流して焼き切たり、あまり膨らんでいない病巣に、内視鏡によって食塩水を注射し、病巣を盛り上げてから切除する方法も取られるようになってきました。切除範囲は胃に穴をあけてしまわないよう、安全に切れる2センチほどでした。
胃がんの内視鏡手術
胃がんを内視鏡で手術できるのは、進行(ステージ)が、それほど進んでいない場合に限られます。胃壁は深さによって、粘膜、粘膜下層、筋層と分かれています。胃がんは表面に発生し、徐々に深く浸食してゆき、ある程度の深さまで達すると、今度はリンパ節や肝臓などに転移してしまいます。ここまで進行してしまったらもう外科的手術を行なうしかありません。基本的に内視鏡でがん細胞を切除できるのは、胃の表面の粘膜層にある段階であり、しかも、リンパ節などに転移がないという条件にかなった場合だけです。
もしも少しでも転移の可能性があるなら、外科手術によって、周囲のリンパ節も一緒に切除するので、リンパ節に転移していても治すことが可能です。一般的に近年の胃がん手術において、内視鏡手術がよいと思われる胃がんの条件は・分化型(正常な粘膜構造を残して、塊で広がるタイプ)、・粘膜までしか浸透していない、・潰瘍が発生していない、・大きさは2センチ以下 という条件で判断されることが多いようです。
新しい内視鏡手術の方法
もう少し大きめのがんを内視鏡で切除できないか考慮され、最近、新しい内視鏡手術法が徐々に広まってきています。この方法は、病巣の周囲に切りこみを入れてゆき、その後、病巣の下に内視鏡からナイフを入れて直接全体を剥ぎ取るという方法です。この内視鏡手術の方法を内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と呼びます。この方法なら、ほとんどの大きさの病巣も内視鏡で切除することができるようになりました。
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